ATF(ATオイル)フィルター交換の薦め。第7話ATF(ATオイル)交換方法ついての話(ブログ)

  前回はATFATオイル)役割や交換の必要性の話を書きましたが、今回は交換方法に付いて書いてみようと思います。

 私がディーラーへ入って、ATFATオイル)の交換作業をする時とは、ほとんどが12ヶ月法定点検時(1年点検)か車検時でした。

 ただ、車検時入庫車両も、新車登録から6年も経っていない車両が殆んどでしたし、その中でもATミッション車は、またわずかしか入庫してなかったですし、走行距離も20,000km40,000kmの車両が殆んどでした。

 そして、今みたいにATFチェンジャーや全容量交換の話などまだありませんでしたので、エンジンオイル交換と同様に、一般的にATオイルパンのドレーンボルトを外してATFを排出して、抜けた量相応分のATFを入れ、アイドリングでCOLD(20℃40℃)の規定量に合わせ、暖気して油温がHOT70℃80℃)になったら再度HOTの規定量に合わせて作業完了でした。この頃は、入庫台数も走行距離もさほど多くなく、今みたいな全容量交換ではなく、オイルパンに溜まっていた分の1.5L2.0L程度交換しただけでした。

 その後、1985年以降ぐらいになると、ATミッションの普及率も7割~8割位占めるようになり、多走行の車両も増えてきましたので、この頃からATFチェンジャーが普及し始めました。

 そしてATFチェンジャーのセールスポイントとして全容量交換がアピールされるようになりました。

 今までオイルパンから抜いて交換しただけですと、ほぼオイルパンに溜まっていた分だけですので、全容量の大体1/3程度しか交換できませんでしたので、ATFチェンジャーを使えば短時間で、ほぼ全容量交換が出来るという説明でした。今では全自動ATFチェンジャーというのも出ておりまして、当店では全自動は持っていませんが、あるメーカーのトルコンチェンジャーのセールスポイントは、50,000km以上走行車でも交換可能とか、フィルター内蔵でフルードクリーニング出来るとか、簡単なボタン操作で、新人、アルバイトの方でも安心して作業でき、交換時間は約8分間で、お客様をお待たせしません、などがあります。

 ここでは、各交換方法の説明と、一般的に言われている、メリット、デメリットを少し書きます。

 ① 下抜き交換。 ATミッションオイルパンのドレーンから廃油を抜き、ATFレベルゲージガイドから新油を入れる。

   ○メリット 機械をセットしないので作業工賃がお値打ちである。エンジンを止めて直ぐATFを抜けば、オイル中の浮遊物をオイルパンに沈殿する前にある程度排出できる。

   ○デメリット 1回だけだと全容量の3割~4割程しか交換できない。エンジンを掛けて一度ATFを循環させて、エンジンを止めて再度2回~3回交換作業を繰り返すと、ATFチェンジャーの吸出し交換より時間を要すのと、古いATFを薄めながら新油に交換する為、規定量だけだと全体の7割~8割程度しか交換にならないので、完全交換をしようとすると、ATFを全容量の1.5倍~2倍使用する。

 ② ATFチェンジャー使用による上抜き交換。 ATFレベルゲージガイドよりATFチェンジャーの給排用ノズルを入れ、このノズルよりATFを吸出し、又は注入を行う。この方法は言い方がまちまちで、交互方式、循環方式と言うメーカーも有れば、圧送方式と言うお店も有ります。(これはATFチェンジャー操作での手動、自動での作業の仕方で言い方が変わるみたいです。)

  ○メリット  一度チェンジャーをセットすれば、比較的作業時間が掛からない.交換した量が分りやすい。

  ○デメリット  下抜き交換方法が、機械を使用して上抜き交換に変わっただけなので、下抜き交換同様、古いATFを薄めながら新油に交換する為、規定量だけだと全体の7割~8割程度しか交換にならないので、完全交換をしようとすると、ATFを全容量の1.5倍~2倍使用する。

 一部車両で給排用ノズルがレベルゲージガイドの形状により、オイルパンの底まで届かない車両が有る。またATFレベルゲージの無い車両もあり全車種可能ではない。

 ATFチェンジャー手動交換の場合、古いATFを吸出し、吸い出した量分の新油を入れ、一度約1分ほどエンジンを掛けATFを循環させ、セレクトレバーを動かし、バルブボディ内のATFを入れ替え、エンジンを止め3回ほど同じ作業を繰り返します。

 全自動タイプですと、交換容量(何リットル交換するか)を決めてセットし、エンジンを掛けてスタートボタンを押すと、自動で約1Lずつ入れ替えを繰り返し、設定量になると自動で作業を停止します。エンジンは掛かったままで、この作業を繰り返しますので、この場合一時的に空汲みが発生してATFにエアーが混入します。 

 ノズルからAFTを注入する時にオイルパンに沈殿している不純物等を巻き上げ、フィルター詰りを起こし易い、吸い出した不純物を注入時に、またATへ戻してしまうとか言う話も出ているようですが、ATFチェンジャーの種類によっては可能性は否定できませんが、もともと沈殿物は回転中はオイルパンの中で浮遊していますから、特にはさほど気にする必要は無いと思いますし、気になればフィルター交換を希望されれば良いと思いますし、当店では今までにATF交換後にフィルター詰りによるトラブルはまだ経験しておりませんので、可能性は否定できませんが確率は低いと思います。

 ③ 圧送方式(この方法も循環式と言われるメーカーもあります。) 作業方法としては、オイルクーラーに繋がっているホースを外し、付属ホースを繋いで、片側は廃油タンク又はATFチェンジャーの廃油タンク、もう片側はATFチェンジャーの注油ホースに接続して、エンジンを掛けてATFチェンジャーを作動させ、AT本体から出て来た古いATF分をATFチェンジャーからAT本体へ新油を圧送して循環させて交換する方法です。

  ○メリット 下抜き、吸出し交換よりは、同じ容量でも交換率が高い。吸出し方法にある一度吸い出した不純物を注入時に、またATへ戻してしまうとかは起こりません。オイルパンに沈殿している不純物等を巻き上げ、フィルター詰りを起こし易いとかは?かなですけど。

  ○デメリット オイルクーラーホースを脱着したりする作業時間が掛かり、吸い上げ作業よりも手間で、最近の車両はアンダーカバーの脱着も必要で、その分作業料金が高くなる。

 オイルクーラーがAT直付けの車両もあり、やはり、この方式も全車種可能ではない。 

 全自動は排出される量に合わせて、送る量を自動で調整してくれるが、手動タイプのチェンジャーでは、手動で送量調整を必要とする。

 規定量でセットすれば交換率は高いが、排出したATFの色で判断すると、汚れが少ない場合は入れ替わりが分りづらい、汚れが酷い場合は直ぐに新油が汚れ、やはりATFを全容量の1.5倍~2倍使用しないと綺麗にならない。

 ④ATオイルパン脱着方式  この方法はATF交換というより、オイルパンからのオイル漏れ修理、ATフィルター交換に伴う作業である。

  ○メリット  オイルパンを脱着することにより、オイルパン内に沈殿している不純物や、磁石に付いている鉄粉を清掃がてら除去できる事。オイルパンを外す事によりATフィッルターの交換が簡単に出来るので、1回先に入れ替えでATFを交換し、その後フィルター交換とオイルパン内の清掃をすればほぼ規定量で十分綺麗になり、詰りに繋がる要素を取り除く事が出来る。

 ○デメリット  オイルパンを脱着する為、作業工賃と作業時間が余分に掛かる。

 輸入車は、オイルパンパッキンやガスケットを使用している車両が多いので、比較的作業は容易であるが、国産車の多くはオイルパンを液体ガスケットで接着している車両が多いので脱着作業に結構時間を要しますし、接着してからあまり早くATFを注入すると密着不良を起こし、オイルパンからオイル漏れを起こす場合があるので、通常のパッキンやガスケットを使用している車両よりもなお作業時間を要する。

 これはオイルパン脱着方式を除き、交換方法に共通しますが、一定量のみ(2Lとか)ATF交換ならば、さほど問題は起きないと思いますが、全容量交換の場合、あまり汚れが酷いと、新油の洗浄力で汚れが取れてフィルターが詰り安くなる車両がある場合があります。それに汚れの皮膜が落ちる事によりクリアランスが出来て、変速ショックやフィーリングが変わることもあります。まれにバルブボディ内のピストンに微粒子の鉄粉、アルミ粉が引っ掛かり、変速不良を起こす場合も有ります。

 その他、オイルメーカーが変わることで、適合表ではOKでも、微妙に粘度の違いでクラッチやバルブボディ内のピストンの動き、時間に微妙に差が出て、フィーリングが変わることもあります。(これはメーカー指定油を使用しても発生する事もあります。)

 ただ、一番気をつけたいのが、メーカー指定の油温時で規定量を守る事。油温80℃前後のメーカーもあれば、最近の輸入車は30℃50℃で測定する車両も多くなっており、各メーカーによって違います。

 最近は、ATの故障の多くが、油量の不適切が原因でのトラブルみたいな話も出ております。(油量不足によるエアーの噛み込みでの油膜切れ、油温上昇、油量過多により、AT内回転部分によりATFの攪拌(かくはん)によりキャビテーション(泡立ち)によるエアーの噛み込みでの油膜切れなどによる、ディスクの早期磨耗、金属磨耗等が考えられます。これは、ATFと空気が混ざって、正常時よりも油面高さが高くなってしまい、時間が経つとともにエアーが抜ける事により、油面高さが下がってしまいます。

 実際、一度合わせても、冷えてからまた規定温度で油量を量ると、違う場合が多いです。慎重な作業をする場合は、やはり、何回か油量を確認します。

 出来れば、ATFは早めの交換と、定期的にATフィルターの交換をお勧めいたしますが、各ユーザーさん達のご予算や、お考えも有りますでしょうから、それぞれの方式の特徴や作業性などを参考にしていただければと思います。

 次回は、7話をまとめた総括編を書こうと思います。

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